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25.番外編:ラファエル 少年期

Author: satomi
last update Last Updated: 2025-06-23 07:38:29

 やった。僕はついにやった。剣士として今後一人称は‘俺’だな。

 何をやったのかというと、父上に勝った。

 アンジェリカに言うと「父上が手加減したのよ」と一蹴された。

 そんな…父上に限って。

 俺はわからないので、直接父上にお聞きすることにした。

「父上!先ほどの手合わせ。私が勝利ということになりましたが、その…父上は手加減をしていたのでしょうか?」

 父上はバツが悪そうに中空を見た。

「あ~。お前を喜ばそうと思ってだなぁ…」

 そんな事を言われてもちっとも嬉しくない。

 この時俺は9歳だった。

 それからというもの、俺は父上との手合わせを止め騎士団員に紛れ込み鍛錬を積んだ。

 騎士団長には俺の身分がバレバレだった。

 名前と…やっぱり顔だろうな。似てるし。似てると俺でも思うのだから他人が見たら瓜二つなのでは?

 特に騎士団長は小さいことから父上の事を見ていたようで、俺を見て非常に感慨深いように見えた。

 名前は‘エル’。ラファエルの最期のエルで、騎士団に登録をした。

 その後、騎士団で本気で俺は鍛錬を積んだ。近衛騎士団員になった。

「バカじゃないの?自分を守る騎士団員になったの?本末転倒?なんか変よ」とアンジェリカは言うけれど、騎士団員として近衛の騎士団員になる事は名誉なことだ。

 それも俺は史上最年少らしい。まだ13才だからな。

 それからも騎士団で鍛錬を積み、俺は本気で父上に対峙した。

「父上、手加減ナシでお願いします」

「わかった」

 わかってはいたけど、父上は強かった。警護の必要あるのか?

「俺は騎士団長より強いからな。ところで、お前はこの後も騎士団員として行動していくつもりか?」

 そうだな、俺は腐っても第1皇子。

「今後は第1皇子として、教育を受けたいと思います」

 父上は何故か笑った。

 騎士団を辞める旨を団長に伝えに行った時に、父上の様子を伝えた。

「ああ、それは君の父上がおじい様に言ったことと全く同じだからだよ。君が騎士団で鍛錬したのも同じ。いやぁ、本当に懐かしかったよ。今度は私と手合わせをしてくださいね、ラファエル皇子」

 父上も一時は騎士団に所属して虎視眈々とおじい様に勝とうとしていた?ということかな?

 あんなに完璧な皇太子なのに。

 …そうだよな努力をしたんだよな。

 俺も13才からと遅くはあるが、それからというもの帝王学やらと多
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     成長したので、国民にお披露目をバッチリとすることが可能になり、お披露目をすることになりました。 お披露目の方法は、皇城のバルコニーから手を振る&馬車で手を振る。です。 バルコニーの方は前から考えられていたのですが、遠くて見られない人、仕事があってちょっと皇城の庭まで来ることができない人が多くいるとのマイケルからの進言により、馬車(ガラス張り)で手を振る事にしました。どちらも護衛は厳重に。 特に皇城のバルコニーの際には皇城にゴロツキが侵入しないように、厳重な警備が敷かれることとなりました。 当日、皇城には噂の皇子と皇女を一目見ようと集まった国民でごった返しました。 バルコニーに私とノービア様、それにラファエルとアンジェリカが現れると静まり返りました。ラファエルとアンジェリカがおずおずと手を振るとまた興奮し始め大声援となりました。失神してしまう国民も多数いたようで、これもマイケルの進言で用意していた医師たちに気つけ薬を飲ませてもらい、事なきを得ました。 続いてはガラス張りの馬車によるお披露目です。「母上、なんか恥ずかしいです……」「私も……」「王族たるもの、恥をかいてなんぼだ!」 ノービア様はそのように仰るけどそうかな?確かに二人が生まれた時のデレデレの陛下は恥ずかしいと思うけど。 それでも、二人は頑張って(?)手を振っていました。 マイケルが予想していた通り、ちょっとなら店を出ることが可能だけど……って国民にもお披露目が出来て良かったと思います。************ お二人の御子の姿をお披露目が出来て私は感無量です。 私が予想していたようにお二人はまだ可愛らしく成長なさっています。 このまま成長なさればさぞかし美男美女に成長を……。 あ、リリーが妊娠しました。 妊娠したがってましたからね。 我が子なら可愛いのでしょう。どうも淡白になってしまうのですが、リリーはそれが不満のようです。 もっと熱量をもって我が子に接してほしいんでしょうね。 そうは言っても私の願いはお二人の御子だったので、熱量に差が出ることに理解をしてほしい。元は私もアンリーヌ様もカインド帝国民ではないのだから。 アイリア王国はワガママ王太子×ワガママ王太子妃で、国庫がカツカツになり税率を上げるしかなくなったところ、さすがに領民がブチ切れて、王城に火を放っ

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     二人はスクスクと成長しました。 二人が3才くらいの時に私とノービア様は結婚式を挙げました。 フラワーガール(?)として、二人が積極的に動いてくれて感無量です。 内緒にしているのですが、多分妊娠してるんじゃないかなぁ?と思ってます。 公表すると、また大仰に大変なことになりそうだし、結婚式が伸び伸びで遅れそうなので黙っていました。 ラファエルという立派な皇子がいるというのに、皇城では「もうひとりくらい皇子が……」等との声が上がっているよう。 現在お腹にいる子が男の子だろうと女の子だろうと私はいいんですけどね。男の子を望む声があるようです。そのような声を上げているのは、「結婚前に御子など…」と言っていた人ですね。覚えていますよ? ノービア様はそろそろラファエルにも剣術を教えようかなぁ等と言ってます。 アンジェリカは学習を好き好んでしています。読書が好きなようです。読めない文字、わからない単語など図書室に籠りがちです。 『アンジェリカに本が当たると危ない』とか言って、ノービア様はアンジェリカに専属の侍女を付けることに決めたようです。 3・4才で結構賢い子に育っているようです。「ノービア様。もしかすると、私は妊娠しているかもしれません」 そういうや否や、ノービア様は医師を手配。「そんな大事な事を黙っていたなんて!嗚呼、俺はどうすればいいのか?」 どうもしなくていいのですが、とりあえず部屋からは出て下さい。「アンリーヌ様、ご懐妊ですよ。おめでとうございます!「母上、僕はお兄さんになるのでしょうか?」「弟?妹?」 ラファエルもアンジェリカも速い…。ノービア様より早いじゃない。「ラファエルはお兄さんに、アンジェリカはお姉さんになるのよ。赤ちゃんの性別はまだわかんないなぁ」「「いつわかるのですか?」」 いつと言われても……。私はノービア様に助けを求め、目で合図を送った。‘タスケテ’と。「いっぺんに質問して母上を困らせるものじゃないぞ。赤ちゃんの性別は生まれたらわかるなぁ」「「いつ生まれるの?」」「「え?」」 来年の今頃には生まれてるけど、子供には長いのよね。「えーと、次の春くらいかなぁ?」「まだまだ先じゃない~」「お兄さんになるラファエルはもっと強くなってこの子を守ってよ!」「そうだね、時間はたっぷりあるもん。僕は頑張る!

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